TRACコーチ 大西正裕

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TRACコーチの大西です。

昨日は「腿上げ」のトレーニングの成果について書きました。結果、1ヶ月間の週1回のトレーニングで50m走のタイムが0.11秒短縮されました。
なぜこのような結果となったのか少し深く掘り下げていきたいと思います。

今回、「腿上げ」のトレーニングを行うにあたり4つのポイントで指導しました。

① 片足で自分体重を支える。
② 支えやすい姿勢をキープする。
③ 足の軌道が遠回りをせず、コンパクトに収まるようにする。
④ 腿を上げるのではなく、「上がってしまう」感覚を養う。

①と②ができると地面に足がついた時(接地した時)に、姿勢が崩れないことで地面に大きな力を伝えられるようになりストライドが増大するのではないかと考えました。
子供の走りの特徴として地面をたくさんキックしようしまい、足が後ろ回転になってしまうことがあります。腿上げを行うことで、足を入れ替えるポイントを体の前に置きやすくなるため、③の効果である足の回転がコンパクトになることを期待しました。
④は腿上げを行う際に重視したい感覚です。トップレベルから小学生まで疾走速度と腿を上げる高さには関係がないことが研究で明らかにされています。とはいえ、トップ選手も全く腿が上がっていないわけではありません。結果的に、上がってしまっているという印象です。正しく地面に力を伝えられた結果だと考えられます。また、上げる意識が強いと姿勢が崩れやすく、膝が曲がり、綺麗な姿勢ではなくなります。そこで④のイメージを持てるように指導しました。

これらの理由から、「腿上げはストライドが大きくなる効果的なトレーニング」として1ヶ月間取り組みました。タイムは0.11秒の短縮となりましたが、肝心のストライドはどうだったのでしょうか?

そこで、対象者数は減ってしまいますが①と②のスクールでは測定中の走りをビデオで撮影しました。映像から歩数を数え、ピッチ、ストライド、ストライド比(身長に対してストライドが広いか)を算出しました。また、測定前には身長を測定しました。

結果はこちらです。

 

「腿上げ」のトレーニングによってストライドが伸び、50m走の歩数が減りました。仮説通りの結果を得ることができました。
この時に考えねばならないのが、発育の影響です。小学生では1ヶ月の間にも身長が伸びることもあり、トレーニング効果ではなく発育の影響によってストライドが伸びることもあります。そこで、ストライドが身長に対してどの程度の割合であるかをみるためにストライド比を算出して比較しました。こちらもトレーニング後に大きくなっておりトレーニング効果が認められました。

スポーツ科学で言えばバイオメカニクスの手法を用いて関節角度や角速度などを使ってどのような動きの変化が見られたのかを見れればなお良いのですが、現場レベルでのコーチングでは手軽さも重要です。ストップウォッチとスマートフォンで手軽にトレーニング効果を測定できると、トレーニングの方向性をチェックできます!