TRACコーチ 大西正裕

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TRACの大西です。
日本男子スプリント界が、桐生選手の9秒台を皮切りに大きく動いて行きそうな雰囲気となってきました。
昨日、大阪・長居にて行われた全日本実業団にて、山縣亮太選手が10秒00(+0.2)の日本歴代2位タイの自己ベストで優勝をしました!

今期の山縣選手は3月の時点で10秒0台をマークし、オフシーズンのトレーニングの充実度が伺えました。しかし、その反動からか右足首を痛め、その後のレースを全てキャンセル。世界陸上の代表選考会である日本選手権には出場したものの、調整不足感は否めず6位に沈み代表を逃しました。
惨敗した日本選手権から3ヶ月。舞台は同じ大阪・長居。風のアシストもない中、スタートから飛び出し中間では周囲を置き去りに。速報タイムは「10秒01」。
1分後に発表された正式タイムは「10秒00」。惜しくも9秒台には届きませんでしたが、日本男子スプリント界を牽引する山縣選手の意地とプライドがぶつけられたレースでした。

今大会は現地で見ていたのですが、予選・準決勝は10秒19、10秒20で走り復調の兆しを垣間見ることができました。山縣

選手の特徴の一つにラウンドの進み方があります。多くの選手は予選では後半力を抜き「流すレース」をします。山縣選手は予選だからといって力を温存するタイプでなく、予選から決勝まで力を抜かずに同じようなタイムできっちりまとめる選手です。そんな印象もあり、決勝でも10秒1台かな?という予想でした。走りとしても準決勝までは、中盤の走りが昨年ほどの切れ味がまだないかな?と印象でしたが、決勝ではその部分きっちり修正しており、改めて山縣選手の能力の高さを見せてくれるレースでした。

さて、恒例の映像による歩数、ピッチ、ストライドの分析です。山縣選手の10秒0台のレース分析しました。(目測にて計測)

山縣選手の歩数はほぼ変化はありませんでした。6月の日本選手権と今大会で大きな違いはみられませでした。
山縣選手の走りの特徴はピッチが高いところにあります。桐生選手、伊東さんのよりも高い値になっています。この高いピッチは無駄の無い足の軌道によって実現されています。特に、スタートの局面では地面スレスレのところを運んでいます。また、ピッチ型の選手の場合足を早く動かせば動かすほど体幹部分のブレが起きやすくなり後半の失速するパターンが多く見られます。山縣選手の場合、高いピッチであってもそれに負けない体幹部の安定感があり、ゴールまで上下動がなく水平移動するように駆け抜けています。
(どこで聞いたか忘れてしまいましたが)45〜46歩をで100mを9秒台で走ること条件と聞いたことがありますが、山縣選手はピッチを高めて10秒の壁にチャレンジしていることが今大会のレースから明らかになりました。ただ実際に、山縣選手はどんな意識で、どこに重きを置いてトレーニングされているかは分かりません。機会があればぜひお聞きしてみたいですね。