コーチに競技力は必要か?

2018年07月15日 | TRACコーチ 大西正裕


TRACの大西です。
この連休はまさに初夏!というより酷暑ですね・・・
さて、タイトルにもある通り、「コーチに競技力は必要か?」ということでコーチに必要な能力について考えて行きたいと思います。
「名選手名コーチに非ず」
現役時代の実績と指導は必ずしもリンクしないことを表現した言葉ですが、現役時代に素晴らしい実績を残されている方もコーチとしてご活躍されており一概に「名選手名コーチに非ず」と言えません。私も指導の現場に10年近く立っていますが、私のような実績のないコーチからすると実績をもつコーチがとっても輝かしく見えます。それは、私が”知らない世界”を知っているからそう見えてしまうのかもしれません。
私が知らない世界。
例えば、100m10秒の世界は私は知りません。私の100mの自己記録は11秒21(-2.8)であり、10秒台の感覚やスピード感を体験していないため選手に伝えることができません。
例えば、世界と凌ぎを削り戦う術を知りません。欧州回っての海外転戦の経験や国内選考を勝ち抜くような経験がありません。
コーチとして競技力が高いことは指導する上で、経験が多岐にわたることは自分の言葉で選手に伝えることができるため大きなアドバンテージがあると思います。
では、私のような実績なものはコーチはどのように考え対抗していけば良いのでしょうか?
こんな思いを思い浮かべながら、先日、U20の日本記録を持つ女子選手と話す機会がありました。
そこで、「あなたは優秀なコーチになれると思うか?」と聞くと彼女は「今はなれないと思う」と答えました。
「皆さん、一度は風邪をひいたことが経験がありますよね?その時どうやって治ったか、どうやって治そうとしたかを説明できますか?」
「競技力が高いことで”知らない世界”を経験しているかもしれません。しかし、経験したから”できる”と言うの間違いです。経験してできるのであれば風邪を引いたことがある人はみんな医者になれてしまうことと一緒です。」
すごく上手に表現するなと感心させられました。
「指導=競技力」と考えてしまいがちですが、「指導≠競技力」です。
指導と競技では求めらる能力が異なります。競技力の高さはアドンバンテージにはなりますが、コーチの能力を決定づける要因ではありません。

もし知っている範囲でしか指導できないのであれば、到底世界記録を出す選手を育成することはできません。
知らない世界に挑戦していくことからは避けられません。知らなければその分、工夫して学べば良いのです。
私が指導現場に立つ際に、大事にしている言葉があります。
「学ぶことやめたら教えることをやめなければならない。」(ロジェ・ルメール氏/フランスサッカー代表監督)
実績がない私は「学ぶ」ことで勝負しなければ、到底優れた経験を持つコーチには太刀打ちできません。某国の陸上競技の代表コーチはバスケットボール出身の方に任させられていると聞いたことがあります。
実績がないからコーチが出来ないと悲観せず、謙虚に学び続けるコーチであり、そのスタイルを貫いて行きたいと思います。